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インプラント設計プロセスを追跡可能に保つ方法

インプラント(人工関節、骨接合材など)の設計プロセスに関する規制とその監視に関してお話しする場合、そのトレーサビリティは推奨ではなく要求事項になっていると言うことをまず述べなくてはなりません。ただし、それに適うプロセスの実装が障害になると言う意味ではありません。なぜならば、nTop Platformは、使用開始時点で既にそのトレーサビリティを提供しているからです。

Christopher Cho

July 9, 2020 • 4 min read

経験豊富なある人から、「ペーパーワークが重要」といつも言われていました。今日に至るまで、医療デバイスの設計プロセスについてこれ以上的確な説明に出会ったことはありません。

トレース可能な設計プロセスとは、製造されたすべての製品について、その製品を定義するすべての設計決定項目と入力パラメーターをトレースできる、記録書面があることを意味します。トレース可能なプロセスを保存しておくことで、製品の信頼性が向上するだけでなく、何か問題が発生した場合でも、適切な修正および予防措置を実行して問題を解決できるようになります。これはただ単にフォローするのに良い手法であるだけでなく、提出物が規制機関による審査に耐えることを確実にするための要件でもあります。

これらのことは製造工程への要求事項として非常に強調されてきていますが、設計に使用されるソフトウェアがこの考慮事項から除外されてもいいというわけでは全くありません。

nTopologyはトレーサビリティの重要性を真剣に受け止め、インプラント業界をサポートするさまざまな方法を提供しています。インプラントがnTop Platformで設計されている場合、作成された最終出力は、そこに至るまでに行われた設計手順によって定義されます。もしプロセス上のひとつの入力パラメーターが変更された場合、最終的な出力は、その定義に従って異なるものになります。これは当たり前のように見えるかもしれませんが、標準的なCADツールで十分にカバーできるような内容ではありません。従来のBRepモデリングとnTopologyのインプリシット(Implicit)モデリングを区別する技術的なことについてはいくらでも議論できますが、最大の要点は以下となります。

「従来のBRep技術で設計ワークフローを明確に定義できるとしても、nTop Platformのインプリシットモデリングエンジンの様に定型的かつ安定的に素早く繰り返し実行できるわけではありません。」

nTopologyソフトウェアは、その機能の本質的な特長によって、トレース可能な設計プロセスを提供できます。

トレースレポート

 nTop Platformで設計する場合、UI上の顕著な違いは「ノートブック」機能です。UIに伝統的に存在しているサイドバーは、設計操作手順を時系列に格納する場所です。これに対して、「ノートブック」は複数の設計ワークフローが同時に存在できる環境です。これらのワークフローは、ベースモデルから始まり、無数の設計バリエーションに分岐できます。または別々の複雑な形状から始め、最終的には、1つのジオメトリが別のジオメトリに影響を与える、ひとつの設計ワークフローに収束させることもできます。種々のワークフローを簡単に組み合わせることができるため、トポロジー・オプティマイゼーション、有限要素解析、およびラティス生成といった、すでに高度化されている設計機能をさらに強化します。また同時に、レポートの埋め込みなどのシンプルな機能も簡単に有効化できます。

インプラント設計と平行して、レポートのためのワークフローを同時に実装して、関係するすべての関連情報をとりまとめて生成、保存することもできます。従って、設計反復毎に付随するレポートを生成して、設計プロセス上の貴重なデータを維持することができます。

生成された各ワークフローを個別のファイル名で保存する設定ができるので、1つのノートブックが、追跡可能なこれらのワークフローを集約した資産になります。このシステムの価値は、設計プロセスが完成し、生産準備の整ったデジタルファイル(STLやスライスデータ)を準備するときに、まさに発揮されます。

nTop Platformの「ノートブック」は、自動化可能な“オッセオインテグレーション・ラティス製造マシン( osseointegrative-lattice-generating machine) ”となります。すなわち、通常必要な時間と比べればほんの一部の時間で、インプラントファミリ製品全体の正確なトレーサビリティレポートを個別のファイル名で保存できます。

バージョン管理

規制で管理されている業界では、変化は時に恐ろしいものになる可能性があります。前例のない変化は、破滅的となる可能性があるのです。臨床試験に合格したインプラントであっても、設計上の重要な部分に想定していなかったような変更があると、人体の内部で問題を起こす可能性があります。

この種の事象が発生しないように採用される一般的なアプローチは、設計製造に使用したソフトウェアツールのバージョンを「凍結」して、対象インプラントの開発期間と製造機器寿命の間、同じバージョンを維持するということです。これによって、ソフトウェアの文書化されていない変更、または(OSなどの)インフラストラクチャの変更によって製品の動作方法に悪影響を与えることを回避していることを証明できるため、医療機器業界で多く活用されているリスク管理戦略です。

インプラントの認証を取得した場合は、その後のすべての設計改訂は、同じバージョンのソフトウェアで実行する必要があります。これはリスク回避の観点からはすばらしいように見えますが、組織としてソフトウェアの状態を永続的に管理および維持する必要があることも意味しています。一方で、そのソフトウェアの新バージョンが新しい機能を提供する場合、それら機能を活用できないということになります。

nTopologyがこの「バージョンの凍結」に対抗するために取ったアプローチは、アプリケーションソフトウェア全体ではなく、より詳細なレベルでのバージョン管理方法を提供することです。設計ワークフローは一連のネストされた「ファンクションブロック」で構成されるため、これらの各ブロックのバージョンを制御することで、設計環境としてのnTop Platformが更新を続けても、プロセスはまったく同じに保たれるのです。

即ち、あるブロックの機能が新バージョンで強化されても、以前のバージョンのブロックの機能は引き続き利用可能であり、継続サポートされます。上図のように、ブロックの“Version”プルダウンでブロック毎にバージョン指定できます。

即ち、nTop Platform全体としては新バージョンで強化され続けますが、同時に、ユーザーが個別のブロックのバージョンを「凍結」する自由も維持されます。これは、医療機器やインプラントのようなデバイス開発のためのひとつのアプローチです。

nTop Platformが整形外科用インプラントと解剖学的に適合する形状のスケーラブルな設計アプローチをどのように実現し、設計ワークフローをより加速させ、より正確に、より便利にするのかについて、追加コンテンツを探している場合はこのプレゼンテーションをチェックしてください。